ピアノで奏でる雨の響き <7>
■ ドビュッシー:朝の雨に感謝するために(連弾)
今回ご紹介する「雨」がタイトルに入ったピアノ曲は、ドビュッシーが連弾のために作曲した「朝の雨に感謝するために」で、『6つの古代の墓碑銘(エピグラフ)』という組曲の6曲目におさめられています。
この曲のベースとなっているのは、1900年にドビュッシーがフランスの詩人ピエール・ルーイーの散文詩「ビリティスの歌」の朗読のために作った付随音楽で、フルート、ハープとチェレスタで演奏される12曲から成る構成でした。しかし、これは実際には演奏される機会はなく、その14年後に改作してピアノ連弾用に6曲にまとめ発表したのが『6つの古代の墓碑銘(エピグラフ)』。
以前にご紹介した「雨の庭」は、雨が穏やかになったり激しくなったりと変化に富み、最後には太陽の光が…という展開でしたが、「朝の雨に感謝するために」では、霧雨のようなこまかいしぶきが絶えず降り注いでいる風景の中に流れるエキゾチックなメロディーが主役。「雨の庭」のような華やかさはありませんが、幻想的な雨の風景が思い浮かびます。
ピアノ:フランソワ・ジョエル・ティオリエ