Viva!ピアノライフ

All About ピアノガイド北條聡子のブログ

鍵盤が剥がれるかも?ヤマハのリコールピアノ一覧表

日本を代表する楽器メーカー「ヤマハ」のピアノ。
世界的に活躍するプロのピアニストが愛奏したり、コンクールのステージで一流のスタインウェイやベヒシュタインなどと並んで登場する機会も多く、そのクオリティの高さは折り紙付きです。

鍵盤が剥がれる可能性

しかし、ある時期につくられたピアノは鍵盤が剥がれる可能性があります。

原因は、その時期に使われた接着剤及び白鍵上面材の特性によって、特定の温度と湿度の環境において接着力が低下するからだそうです。

「特定の温度と湿度の環境」によって起こることで、全部の鍵盤が必ず剥がれるというわけではないため、ヤマハはこれを公表していません。
でも、「ヤマハなら大丈夫」と信頼して高いお金をだして買ったピアノの鍵盤が剥がれ出したらショックですよね。

中古ピアノを買う前にチェック

ヤマハの中古ピアノの購入を検討している場合は、決める前に品番と製造番号をチェックして、リコール対象機種かどうか確認してみることをおすすめします。


こちらが、ヤマハが販売店と調律師にのみ公開しているリコール対象機種の一覧表です。(2023年5月改定版)

リコール対象機種と知って購入する分には問題ない

たとえリコール対象機種だったとしても、そのピアノの音色や弾き心地が気に入ったのであれば、鍵盤が必ず剥がれるというわけではないので購入をあきらめることはありません。
その可能性があることを承知で購入しているわけですから、もし剥がれてきてしまっても驚くことなく対応できます。運が悪かったと思って、速やかに販売店に連絡をしてください。

ヤマハが無償で貼り直してくれます

ヤマハが販売店などに通達している対応は、一旦鍵盤を取り外し掛川工場に送り、工場で貼りつけて販売店に戻すということなので、完全にもとに戻るまである程度の期間がかかりますが、その間は仮の鍵盤を入れておいてくれるようなので、まったく弾けなくなるということではないようです。

鍵盤が剥がれときの注意点

もしピアノの鍵盤が剥がれ出したら、リコール対象の一覧表に載っていない場合でも、ピアノを買った販売店か調律師さんに連絡してください。

絶対に、自分で接着剤などを塗って修理を試みないでください。

接着剤を塗って失敗した後でヤマハに連絡すると、「加工した」ということになってしまい、無償で修理してくれない可能性があります。
何も手を加えずにそのままの状態で連絡しましょう。

また、もし販売店や調律師から修理代を請求されたらおかしいと思って、他の調律師に頼むか直接ヤマハに問い合わせてみてください。
※リコール対象ではない機種だった場合、また何かしら他の原因で剥がれた場合は無償で修理されない場合もあるかもしれません。

ヤマハは日本を代表する一流ブランド

さて、3回に渡りしつこく「ヤマハの剥がれる鍵盤」について記事を書いてきましたが、私は決してアンチYAMAHAではありません。

実際、つい先日新しいヤマハのグランドピアノに買い換えたばかりです。

選定のために掛川工場へ行き、工場見学もしてきましたが、目の前でピアノのパーツが組み立てられていく工程を見て、改めてヤマハのピアノへのこだわりや、”良いピアノをつくる”という熱意を感じ、自分のもっているピアノへの愛情も深まりました。

だからこそ、リコールの可能性のあるピアノを公表せず販売し続け、運悪く被害にあってしまった人がヤマハに失望するようなケースをできるだけなくしたいと強く思い、このブログを通してお知らせすることにしました。

これからヤマハの中古ピアノを購入するかた、そして何年も弾いてきたピアノの鍵盤が突然剥がれ出し困っているかたへの情報としてお役に立てば幸いです。