Viva!ピアノライフ

All About ピアノガイド北條聡子のブログ

ピアノのペダルは耳で踏む!?

軽やかに流れる美しいパッセージで始まるドビュッシーの「アラベスク1番」。ピアノ名曲集には必ずといっていいほど収められていて、ピアノを習っている人なら誰でも一度は弾きたいと思う人気の曲。私も今までに何人もの生徒さんにレッスンしてきました。

楽譜の冒頭は一見とても簡単に見えるのですが、実はこれがきれいに流れて聞こえるように弾くのはなかなか難しい!左手から右手、右手から左手へのつなぎ部分の音をそろえてレガートに弾くことが必須ですが、それが上手に出来てもペダルの踏み替えが上手に出来ないと美しく聞こえません。

特別に難しいペダリングではないのに上手に踏み替えができない理由として、ペダルマークが以下のように表記されていることがあります。

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この場合、下のように表記された楽譜を見ながら弾いてもらうと、あっという間に修正され上手に弾けるようになることが多いのです。

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どちらの楽譜も同じ箇所でペダルを踏み替えるように指示されているのですが、上の楽譜にはペダルを離す(上げる)マークが入っているために、真面目な生徒さんほどこのマークに律儀に反応してしまい、バタバタと忙しく踏み替えをしてなめらかな響きを作り出す妨げになってしまうのです。残念なことに、この楽譜の表記を正確に再現すると「ペダルを上げるタイミングが早くなる」「踏み替えの動作が大きくなる」など、あまり良いことはありません。

次の箇所もレッスンの際によく問題になるところで、同じ理由から私は上ではなく下のようにペダル表記された楽譜を生徒さんに使ってもらうようにしています。

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例にあげた「アラベスク」に限らず、ペダルを使い続ける場面で音の濁りを解消する目的でペダルを踏み替える場合には、ペダルを離すマークが記されていてもあまり気にせず、演奏をよく聴きながら音がなめらかに繋がるタイミングをみつけていくことが大切です。

ペダルの司令塔は「耳」!

ペダルはもちろん足で踏むものですが、どのタイミングでどのように踏むか判断してペダリングの要となるのは「耳」です!

ペダルの踏み心地や響きは、それぞれピアノによっても違うし弾く場所によっても変わってきます。楽譜に記されているペダル記号はあくまでもヒントであって、最終的には演奏者が耳で聞いて使いこなしていかなければならないもの。

学生の時に「ペダルの操作は車の運転と同じ」と言われたことがあります。車の運転に慣れている人は、アクセルやブレーキを踏むのにわざわざ「今このぐらいの深さで踏み込もう」とか「ここで踏むのを止めよう」などと考えません。状況に応じて自然に足が動きます。

ピアノも同じで、響きを聴きながらペダルのタイミングや踏み込む深さを微妙に変えられるようになるのが理想です。楽譜の表記に縛られ過ぎず、自分の耳を信じて上手にペダルが操れるように練習にのぞんでみてください。

ペダルを使った響きを上手にコントロール出来るか否かで、曲の完成度は大きく変わります。ピアノの練習というと、どうしても手ばかりに気が行ってしまいがちですが、ペダリングの技術を磨くこともお忘れなく!

ピアノを続けるかどうか迷った時におすすめの本

先日、『あなたがピアノを続けるべき11の理由』という本を読みました。タイトルには「続けるべき理由」と強く押し付けるようなニュアンスの言葉が使われていますが、内容は決して説教調のものではありません。プロの音楽家だけでなく落語家や科学者など11人の著名人のピアノにまつわるエピソードが紹介され、自分にとってピアノとは、そしてピアノを弾き続ける意義に触れ、最終的には読む人に考えるヒントを与えるような内容になっています。

ちょうど私は教室の生徒さんからピアノを続けるかどうか悩んでいるという相談を受けたばかりだったこともあり、興味深くこの本を読みました。

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生徒さんの悩みは次のようなものでした。「ピアノは好きなのだけれど、どうしてもこつこつと熱心に練習する気にはなれない。練習しないから上手にならない。上手にならないからこのままレッスンに通い続けていても意味ないんじゃないかと思う。でもレッスンを止めてしまうと全然ピアノを弾かなくなりそうでその勇気もなく、この先どうしていいのかわからない。」

練習しなければ上手にならないのは当たり前ですし、そのことはご本人もわかっていらっしゃいます。私の方は、生徒さんが練習していなくてもレッスンに来ることが楽しいということであれば全然構わないのですが、ご本人がそのことに疑問をもたれるのであれば解決策を考えなければいけません。そこで私は、ふたつの選択肢を提案しました。

  1. 心機一転、練習に励んで上達を目指す
  2. 思い切ってレッスンを止めてみる

もちろん、私は1の「練習に励んで上達を目指す」を選んで頂きたいですが、そのかたが突然練習に意欲をもつとも思えなかったので、冷たいようではありますが、思い切って一旦レッスンを止めるほうをおすすめしました。

それでピアノを全然弾かなくなるのであれば、たぶんそのかたにとってピアノはその程度の「好き」だったのだと思います。本当にピアノが好きならば、レッスンがあろうがなかろうが全然弾かなくなるようなことはないはずです。

もし弾き方がわからなかったり、レッスンを受けたくなったらいつでもご連絡下さい、とお話ししてしばらく様子をみるということになりました。

そのような思い切ったアドバイスが出来たのは、タイミングよくこの本を読んでいたおかげでもあります。もともと私は、趣味で習う大人のピアノは楽しくなければ続かないので、無理はしない、イヤなことはしない、を教室の皆さんにはお願いしています。人間ですから、誰でも気分に多少の浮き沈みはありますし、長い年月の間には生活パターンも変化します。その時その時の状況に合わせたピアノの楽しみ方があると思います。

この本の中で私が一番自分と考えが近いと感じたのは、音楽家・秦万里子さんが書かれた『何事も、挫折していけないことなどない。ピアノはいつやめてもいいし、いつ戻ってもいい』というものでした。以下、冒頭部分を引用させて頂きます。

もしもあなたがピアノに何の目標も感じることができず、練習がつらいだけならば、私はピアノのレッスンをやる必要はないと思います。ピアノを続ける「べき」人なんて、どこにもいないのではないでしょうか?何事も、挫折していけないことなどないと思います。やめてみて、「しまった!」「やっぱりやめなければよかった!」と思ったら、その時に再開すればいいのです。多少指の動きが悪くなっても、一度「やめなきゃよかった」と思う人は、そのくらいすぐに挽回できるでしょう。むしろ、いい刺激になるかもしれません。

(「あなたがピアノを続けるべき11の理由」より引用)


 ピアノを弾き続けることに迷いが生じたら、是非読んでみてください。11人のエピソードのなかに、あなたの心に響くメッセージが見つかるかもしれません。

あなたがピアノを続けるべき11の理由

あなたがピアノを続けるべき11の理由

 

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新記事「ピアノ発表会におすすめの曲」

以前からリクエストを多く頂いていた、発表会におすすめの曲をまとめた記事をアップしました。レベル別にしたうえ、ざっくりと「明るい系」「憂い系」「ダイナミック系」など雰囲気別に分け、更に参考演奏の動画をリンクしてみました。

記事の中にも書きましたが、レベルは例えば<中級>に分類されていても、初級寄りと上級寄りの曲ではかなり難易度に差があります。また譜面はさほど難しくなくても、表現の難易度が高いものは<上級>に入れてあります。レベルは個人によって感じ方が違いますし、どのぐらいのテンポで仕上げるかなどによっても変わってきます。あくまでも参考程度にご覧ください。

リンクした動画の演奏を聞いてしまうと「こんな難しい曲、弾けない!」と腰が引けてしまうかもしれません。でも実際に楽譜を見てみると、意外に譜面はシンプルで読み易くて「これなら頑張れば弾けるかも?」と思うこともあります。選曲の際にはできるだけ楽譜を見ながら聞くようにしてみてください。

今回の記事が、選曲に悩まれている皆さまのお役に立つといいのですが~?

 

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おすすめ映画!ピアノ教師が教える人生のうつくしさ

シーモアさんと、大人のための人生入門」という映画を観て来ました。俳優イーサン・ホークの初監督作品。

ピアノに限らず、レベルを問わず、楽器を演奏する人には是非観ていただきたい映画。音楽の素晴らしさ、ピアノを奏でることができる喜びを改めて感じながら映画館を後にしました。

シーモアは、50歳でコンサート・ピアニストとしての活動に終止符を打ち、以後の人生を「教える」ことに捧げてきた。ピアノストとしての成功、朝鮮戦争従軍中のつらい記憶、そして演奏会にまつわる不安や恐怖の思い出。決して平坦ではなかった人生を、シーモアは美しいピアノの調べとともに語る。彼のあたたかく繊細な言葉は、すべてを包むように、私たちの心を豊かな場所へと導いてくれる。(チラシより抜粋)


映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』予告編

劇場情報 - 映画『シーモアさんと、大人のための人生入門』公式サイト

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練習を始めるなら今!ピアノで奏でるクリスマス

「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、ここ1週間でグッと気温が下がり ”過ごしやすくなった” どころか、朝晩は ”肌寒い” と感じるほどになりましたね。季節の移り変わりを感じ嬉しい半分、少し寂しい感じもします。

9月に入るとすぐに、マネキン人形はすっかり秋冬の装いに身を包みダウンジャケットまで着ているし、最近では「クリスマスケーキ予約受付」や「おせち料理カタログ」といった広告も目にするようになり、年末に向かって一気に時間が加速して流れていくようでちょっと怖くなります。なにもそんなにセコセコと急がなくても……と思いますが、なにごとも早め早めに準備しておくに越したことはありません。特にピアノのように、一夜漬けが効かないことに関しては!

ピアノで奏でるクリスマス、大切なのは「余裕」!

今年もクリスマスにちなんだ曲を集めた楽譜がいろいろと出版されています。クリスマスシーズンに、友達や家族と集った時にBGM代わりにさらっと弾いて雰囲気を盛り上げるのもよし、また、一人静かに一年を振り返りながらピアノに向かいゆっくりクリスマス気分にひたるもよし。いずれにしても大切なのは、余裕をもって演奏すること!

特に人前で披露する予定の人は、音を何度も間違ったり止まったりするのはもちろんNGですが、楽譜に食いつき眉間にしわを寄せ必死の形相で弾いていたりしたら、せっかくの楽しいクリスマスの雰囲気も台無しです。

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笑顔で演奏できるぐらい余裕をもつ

発表会では真剣な表情で演奏している姿は立派ですが、クリスマスの集いでは少し笑顔を浮かべるぐらい余裕をもって弾くと、部屋の雰囲気がより一層なごみます。でも、実際に顔の表情をゆるめて人前で演奏するのは、思っているよりもずっと大変なことなのです。

試しに、何の曲でも構わないので(と言っても、できるだけ明るい曲の方がいい)、少し微笑んでいるような表情を心がけて弾いてみて下さい。意外に難しいですよ。

ピアノでクリスマスシーズンを楽しもうと思っている皆さん!練習を始めるなら「今」です!「まだ3ヶ月もある。」「もっと後で大丈夫。」なんて思っていると、ずるずるとスタートするタイミングを逸し続け、気づいたら11月末だったりするのです。確かにまだ少し早いけれど、今から練習を始めると12月にはきっと笑顔を浮かべながら、すらすらと素敵なクリスマス・ミュージックを奏でることができます ♪

クリスマスの曲を集めた今月の新刊を5冊ご紹介しておきますね。

クリスマスにぴったいな名曲をたっぷり25曲選曲しました。クリスマスキャロルからJ-pop、さらにはメドレーまで充実のラインアップ。中級向き

【曲目】
きよし子の夜/クリスマスの12日/クリスマス・イヴ/戦場のメリークリスマス/そりすべり/クリスマスソング/星に願いを/荒野の果てに/Grown up Christmas List など 
(全音オンラインショップ・曲目紹介より)

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 スタンダードに加え、クリスマス映画の定番「ホーム・アローン」で使用されている楽曲や久石譲の知られざる名曲、東京ディズニーシー(R)のクリスマスショーのテーマ曲等、ここにしかない魅力的な楽曲をお届けします!定番曲も隠れ名曲も、コンサートで映える特別なアレンジでお楽しみください。中上級向き
【曲目】
Welcome to Christmas/Somewhere in My Memory/White Night/きよしこの夜/O Holy Night/まきびと羊を/When Christmas comes to Town/もみの木/We Wish You a Merry Christmas など全15曲
(全音オンラインショップ・曲目紹介より)

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ピアノソロ スヌーピーのメリークリスマス

ピアノソロ スヌーピーのメリークリスマス

 

 同タイトルのアニメから生まれた「クリスマス・タイム・イズ・ヒア」は、今やクリスマスの定番曲。「スケーティング」「マイ・リトル・ドラム」など、スヌーピー作品で数々の名曲を生み出しているビンス・ガラルディが編曲した「もみの木」「あめにはさかえ」が弾けるのもファンにはたまらない!ちょっとJazzyでオシャレなクリスマス曲が弾きたい貴女におススメです。中級向き
【曲目】
もみの木/ホワット・チャイルド・イズ・ディス?/クリスマス・タイム・イズ・ヒア/エリーゼのために/クリスマス・イズ・カミング など全10曲
(全音オンラインショップ・曲目紹介より)

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ピアノソロ とっておきのクリスマス名曲集

ピアノソロ とっておきのクリスマス名曲集

 

超定番「ジングル・ベル」「赤鼻のトナカイ」「きよしこの夜」から、「ラスト・クリスマス」「戦場のメリークリスマス」「クリスマス・イヴ」や、近年話題の新たなクリスマス人気曲「メリークリスマス」(二宮和也・嵐)、ハピネス(AI)まで、弾きやすい中級レベルのピアノ譜をたっぷり30曲集めました。気軽に豪華なクリスマス気分を味わって!中級向き
【曲目】
もみの木/主よ、人の望みの喜びよ/きよしこの夜/アヴェ・マリア/クリスマス・クラシック・メドレー/そりすべり/ジングル・ベル/おめでとうクリスマス/ラスト・クリスマス(WHAM!)/ハッピー・クリスマス(John Lennon)/恋人たちのクリスマス(マライア・キャリー)/クリスマス・イヴ(山下達郎)/すてきなホリディ(竹内まりや)/WINTER SONG(DREAMS COME TRUE)/サイレント・イヴ(辛島美登里)  など全30曲 
(全音オンラインショップ・曲目紹介より)

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ピアノソロ JAZZアレンジで弾くクリスマス 【参考演奏+カラオケCD付】

ピアノソロ JAZZアレンジで弾くクリスマス 【参考演奏+カラオケCD付】

 

今年の冬は、ちょっと大人ムードのJAZZに挑戦!?クリスマスパーティーやコンサートなどで弾くのにぴったりなアレンジです。CDでは、ピアノ・トリオ(withベース、ドラム)での参考演奏に加え、ボーナストラックとしてベース・ドラムだけのカラオケ伴奏音源が5曲収録されています。上級向き
【曲目】
きよしこの夜/ジングル・ベル/サンタが町にやって来た/赤鼻のトナカイ/ウィンター・ワンダー・ランド/おめでとうクリスマス/もみの木 など全18曲 
(全音オンラインショップ・曲目紹介より)

 

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子供でなくても弾きたい「子供のための」ピアノ曲

先日、ピアノ教室を開いている友人達と会った時に、曲名に「子供のための」という言葉が入っていると生徒さんが弾きたがらないで困る、という話しになりました。

シューマンチャイコフスキーカバレフスキーバルトークギロックなど、初級レベルの人が楽しみながら様々なピアノ技法を習得できる優れた曲集がたくさんあるにもかかわらず、タイトルが『子供のためのアルバム』だと、どうしても「簡単」「単純」「幼稚」というような印象が先に立ってしまい、選曲の際のマイナス要因になってしまうのです。

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最近の子供は早熟ですしプライドもあるので、小学校低学年でも「子供のための」という文字に反応してしまい、あまり弾きたがらないのだとか。私の教室は大人の生徒さんばかりなので尚更で、実際、私も勧めづらいところがあります。

もちろん生徒さんには、「子供のためのアルバム」と言っても必ずしも子供っぽい曲想であったり、技術的にも簡単な曲ばかりではなく、表現を含めしっかり完成度を上げて弾きこなすためには、それなりにチャレンジである旨は説明します。それでも、特に発表会で弾く為の選曲の場合は、プログラムに「子供のための」という文字が載ってしまうのはカッコ悪い……と敬遠されることが多いのです。

作曲者が「子供のための」を曲名につける理由

作曲家が「子供のための」というタイトルをつけた背景には、子供の小さな手でも無理なく弾けるように配慮した、最後まで弾き通せるように短くした、子供が イメージしやすく、興味をもちそうな曲想を心がけた、などが挙げられます。また、自分の子供へのプレゼントとして書いた曲だから、最初は違う曲名を考えていたけれど、出版社のアドバイスで「子供のためのアルバム」に変更したなどと解説されているものもあります。

でも実際には作曲家もあまり深く考えずに、ビギナー向けの曲だから「子供のための」と付けたというケースもあるのではないかと思います。ひと昔前までは、大人になってからピアノを習い始める人が今ほどは多くなかったので、大人のビギナー向けの曲の需要があまりなかったのではないでしょうか?

作曲家の思い

作曲家としてみれば、自分の作った曲をひとりでも多くの人に弾いてもらいたいと思うはず。大人になってからピアノを始める人も多い今の時代、「子供のための~」という言葉を曲名につけるのであれば、なぜ「子供のため」なのか、その理由を楽譜の中にしっかり記して欲しいなと思います。

作曲家、野田暉行さんの「子供のためのアルバム」の中にはこのように記されたページがあります。

技術的に子供のためという制約こそあれ、また、音楽も理解しやすい姿こそしておれ、内容は決して気持ちの浅いものではありません。むしろ大人も十分に楽しめるよう、すなわち子供の時に弾いた曲を、ふとまた、大人になってから弾いてみたくなる、というような曲をと思って作りました。

このように作曲家の思いを知ることができれば、「子供のための」というタイトルに対しての抵抗感が和らぎ、もっと幅広い年齢層の人たちによって演奏される機会も増えるのではないでしょうか?

子供でなくても、そしてビギナーでなくても弾きごたえがあり楽しめる素敵な「子供のための」曲は数多くあります。そのほんの一部をご紹介しておきますね。

シューマン「子供のためのアルバム」より "ミニョン"

youtu.beシューマン「子供のためのアルバム」より ”冬の時 その1”

youtu.beチャイコフスキー「子供のためのアルバム」Op.39より ”マズルカ"

youtu.be
ギロック「子供のためのアルバム」より ”雨の日の噴水"

youtu.be

 

上手にピアノを弾くヒント満載!YouTubeを活用する

無料投稿サイトYouTubeユニークな動画でよく話題になりますよね。ピアノでは、自分が練習している曲の聞き比べをする時にYouTubeを活用している人も多いのではないでしょうか?無料でプロ・アマ問わずいろいろな人の演奏を聞くことができるYouTubeは本当に便利!私が学生の頃にあったらどんなに有り難かったことか。特にプロのピアニストが弾いているビデオは、手や指の動きも見ることができて参考になります。

私の教室では、時々「YouTubeで見てみたら、〇〇さんはこの箇所をこのような指使いで弾いていますがどうでしょう?」とか「〇〇さんの演奏が好きなので、タッチを真似てみました」と言うかたもいらして、YouTubeがいかに活用されているか実感します。

YouTubeには思わず「これ、本当に無料でいいの?」と言いたくなるような貴重な動画もたくさんアップされていますが、中でも私が教室の皆さんにオススメしているのは、上野学園大学とピアノ月刊誌「ショパン」のコラボレーション企画『横山幸雄教授によるピアノレッスン』シリーズです。

ベートーヴェンピアノソナタ全32曲、ショパンエチュード作品10&25の公開レッスンの模様を収めたものです。レッスンを受けているのが音大生なので、難易度の高い曲で基本的なテクニックについてのアドバイスはほとんどありませんが、どのような点に気をつけると上手に曲を仕上げられるのか、フレーズのまとめ方や曲想のつけ方など、表現について細かく指導されていてとても参考になります。

ピアノは個人レッスンのことがほとんどなので、他人のレッスンをじっくり聞く機会はあまりないでしょう。自分のレッスンでは弾くことに意識がいってしまいがちですが、他人のレッスンだと音を聴くことに集中できるので、先生からどんなことを注意され、どのように修正すると良い演奏になっていくのかわかりやすく、音楽的な耳を育てる助けにもなります。

YouTubeのサイトで「ピアノ公開レッスン」と入れて検索すると、いろいろな講師による公開レッスンがアップされているのがわかります。もしかすると、いま練習している曲のレッスンが見つかるかも?是非チェックしてみてください。


ベートーヴェンソナタを弾こう(全32曲)


ショパンエチュードを弾こう(作品10&25)

『ショパン』×上野学園大学コラボレーション企画|ショパンのエチュードを弾こう![横山幸雄教授のレッスン映像公開]


ショパンの名曲を弾こう(バラード・スケルツォ全4曲、ポロネーズなど)